- ●トップページ >
- 【コラム】トータルフィットのHOTホッとレポート
トータルフィットのHOTホッとレポート
更新日:2010.08.01(日)
【vol.20】
プロ顔負けの指導
梅雨時の大阪の下町、大阪市社会福祉研修・情報センターにてココから体操講習会が開催されました。
今回の参加者は、介護関係に従事されている方。もともとは「運動指導は私には無理と思っていた」「運動は苦手で、自分には関係ないと思っていた」という方ばかり。
“ココから体操の「私には運動指導なんてできない!」と思っていませんか?“ というキャッチで「これだ!!」と思ったそうです。そのようには言われましたが、そういう方も、ココから体操講習会では、もともと運動指導を生業としている方とほとんど差のない指導を見せていただいています。
ココから体操は、曲に合わせた振付けがあるのでそこを自分で考える必要がないこと、指示の模範のセリフが事前にあり合図まで音楽と一緒に入っているからタイミングも逃さないこと、講習会で指導に気をつけるべき点をみっちりお伝えすること、これらのことで運動指導のプロ顔負けのご指導が成り立つという仕組みになっています。
ちなみに、運動指導以外のお仕事がメインの、すでに違うシリーズの講習会受講済みの方は、市のモデル事業としてお勤めの法人が介護予防教室を委託されていて、ますます需要が高まり他のスタッフもココから体操を指導できるようにしていこうかと検討されているそうです。
介護予防事業は来てもらったときだけの運動では、教室終了後が続かない。例えば、掃除の動きやお風呂に入る動作(ココから体操の振付け)を意識してしっかり自宅でもやっていただく、こういう自宅でもできる動作がとてもいいとのこと。
利用者さんも「こないだのお風呂の動作、家でもやってるで~」とか「前洗うだけでなくて、背中も洗わなあかんで」とか「机拭くときしっかり運動してるで~」とかお声かけくださるそうです。
介護予防教室のカリキュラムにはたいてい毎回運動は入っており(運動+口腔、運動+栄養というように)、フロー体操がテーマ体操になっているとのこと。利用者さんから「あれ、やるで」とリクエストがかかり、ほぼ毎回実施しているそうです。楽しそうな様子が伺えました。
他の方で「来年NPO法人を立ち上げるねん」と構想を練っておられる方もいらして、ココから体操を様々な事業で採用して欲しいと、日々奔走されているそうです。
8月に老人会の方120人参加のイベントが決定しているとのことで、講習会参加者全員で(講師含む)準備についてあれやこれやと提案しました。
バックダンサー(見本動作を一緒にしてくれる人)を教育しておいたほうがいいとか、30分の時間枠で30分の体操をやるのは難しいから、事前に動きの予習をして、効果や注意点などお伝えしてから音楽をかけたほうがいい、3曲するだけで少なくとも30分は見ておくべき等。
まだ講習会に来る前から、地域の役員さんに営業に回り、ボランティアさんの役割を検討し、イベント実施日を決定し、名刺の肩書きに「ココから体操認定指導員」と入れてもいいか確認される、そのパワーに圧倒!
下手したら運動指導のプロよりはるかに積極的な行動に、参加者全員、感心するやら圧倒されるやら、応援したい気持ちでいっぱいになりました。
講習会の重要ポイントは、まずはしっかり動きを覚えて見本としてふさわしい動作を習得すること。例えば、難しい腰ほぐしの動作をどうすれば上手くできるようになるか、どう見せればよりわかりやすくなるかをお伝えし、繰り返し練習していただきました。
次に、はっきりした声で適切なタイミングでキューを出せるようになること。当初は伝えるというより言っているだけだったのが、繰り返すうち伝わる言い方に変わっていきました。
そして、呼吸や姿勢などの注意を言うべきところでいえるようになること。何をどこで言うかの理解は簡単ですが、「頭を下げない」のようなネガティブな言葉で伝えず「前を向きましょう」というポジティブな言葉で伝えることが難しかったようです。わかっているのについ「~しないでください」言ってしまう・・・。
最後は、今後も続けようと思えるような前向きな情報を伝えること。当初は課題として伝えていただくよう指示いたしますが、自分も聞いているうちに前向きな言葉から感じることがそれぞれおありのようで、次々に素敵な言葉が飛び出します。
ココから体操の講習会は、“いいものをまねる”から始まり、どんどん“自分のものになる”という相乗効果があります。担当するたびに、私の引き出しも増えていくのでした。
今回私が感じたのは、運動指導のプロは何がプロなんだろうという疑問でした。
なぜならば、いいタイミングで動きのキューを入れること、呼吸や姿勢の注意を的確に伝えること、絶妙のタイミングでぴたっとはまる「褒め言葉」を伝えること・・・これらのことは、ココから体操が指導できれば、運動自体が苦手な方でもまったく問題ないんですよね。
では、プログラミングができるのが運動指導のプロでしょうか。
症状や悩み、目的に応じて、個別の相談に対応できることでしょうか。
運動の裾野を広げるためには、運動指導のプロ以外の方も積極的に運動に関わっていただき、運動の敷居を下げることが必要です。つまり、運動指導のプロがプロとしてお仕事するには、さらにプロとしてスキルアップが必要だと肝に銘じました。
しかしながら、運動の勉強をみっちりやる時間のなかなか取れない運動指導のプロ以外の方が、あっという間に運動指導のプロ顔負けのご指導ができるココから体操って、素晴らしいですね。
内容:ココから体操講習会
実施日:2010年7月11日(日)
会場:大阪
講師:園田幸子
【コラム更新一覧】
- 【vol.39】第73回全国産業安全衛生大会発表を終えて |
- 【vol.38】スマートストレスマネジメントの取り組み ~ストレス可視化による都市型ヘルスケア~ |
- 【vol.37】東北の未来によりそう |
- 【vol.36】健康チャリティーイベント「命は宝」に出展して |
- 【vol.35】シンポジウム第3弾 からだもこころもホッカホカレシピ クッキング交流会 |
- 【vol.34】充実感と達成感 |
- 【vol.33】被災地支援の仕事を終えて |
- 【vol.32】第11回 マインドボディシンポジウム2012 in Biwako |
- 【vol.31】参加者に必要な言葉がけ |
- 【vol.30】笑顔あふれる空間 |
- 【vol.29】参加者同士のつながり |
- 【vol.28】集団でこその良さ |
- 【vol.27】新鮮な気持ち |
- 【vol.26】新しい個性にチャレンジ |
- 【vol.25】伝える指導者の力 |
- 【vol.24】伝える難しさ |
- 【vol.23】何をどれだけ伝えるか |
- 【vol.22】指導を受けることが気づき |
- 【vol.21】私たちの役割 |
- 【vol.20】プロ顔負けの指導 |
- 【vol.19】幸福な人生のサポート |
- 【vol.18】プラスのストローク |
- 【vol.17】効果的な“OUTPUT”のために |
- 【vol.16】高齢者が体操を行う意味 |
- 【vol.15】目的を明確にする |
- 【vol.14】高齢者を元気にする |
- 【vol.13】自分の指導方法 |
- 【vol.12】前向きな気持ち |
- 【vol.11】スキルアップの鍵 |
- 【vol.10】仲間のちから |
- 【vol.09】自分の課題をクリア |
- 【vol.08】目標宣言から指導力アップ |
- 【vol.07】相手に合わせた指導法 |
- 【vol.06】大活躍!はっぴーくらぶのみなさん |
- 【vol.05】果敢にチャレンジ |
- 【vol.04】グループで行うことの良さ |
- 【vol.03】運動をすると思うと億劫 |
- 【vol.02】目でコミュニケーション |
- 【vol.01】お互いのフィードバック