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トータルフィットのHOTホッとレポート
更新日:2012.12.03(月)
【vol.33】
被災地支援の仕事を終えて
東日本大震災が起こってから、一年半以上が過ぎ、被災地では順調に復興が進んでいるとは言えない中、国民の生活は“平常”を取り戻しているように見えます。テレビではいつものように、華やかなバラエティやドラマ、斬新なコマーシャルが流れ、オリンピックやサッカー、野球のような、興行スポーツやエンターテイメントが盛況しています。
僕の仕事は、エンターテイメント性の高い、エアロビクスダンスのレッスンが主体で、毎日、楽しい音楽に乗せて、爽やかに汗をかいています。3.11直後、僕はとても複雑な思いで、その日常のレッスンを“こなしていた”記憶が、今でもまだ消えることはありません。
「何かしたい」
その想いは、2011年5月、某スポーツクラブ主催のチャリティイベントという形で実現しました。 西日本から、元気を送りたいという願いと共に、義援金と参加者の寄せ書きを添えた横断幕を被災地に送ることができました。当時の僕にできる精一杯の支援でした。
しかし、心の中では、被災地に行きたいという想いがありました。 でも、やみくもに行くものではないし、実際、足手まといになって、被災地の方々や他の支援者に迷惑をかけてしまうかも知れないという不安で、二の足を踏んでおりました。
そして今回、被災地での講習会の仕事をいただき、直接、形に残る支援ができる機会を得ました。 その話をいただいた瞬間、鳥肌が立つような嬉しさが込みあげてきました。 この足で、この手で、この目で、この肌で、被災地を感じたい。少しでも役に立ちたい。 そして現地では、僕の予想以上にこちら(関西)との温度差を感じることになりました。
滞在期間は4日間。 移動は、飛行機、新幹線、バスを乗り継ぎ、半日掛かり。 途中、財布を無くすというアクシデントに見舞われながら、ようやく被災地の街に辿り着きました。 そこはまさに映画のロケ地のような場所で、温かい雰囲気が広がっていました。駅で食べた「おいなりさん」の味が、長い旅路の疲れを癒してくれました。
仕事はまず、甚大な津波の被害を受けた、岩手県、南沿岸部にある、野田村でストレッチポールというツールを用いた、からだほぐしの体験会を行いました。 フィットネス業界では有名なこのツールも、一般にはまだ浸透していない様で、「すごい!」「気持ちいい!」と大絶賛。しかし、一つ間違えると、津波の記憶がフラッシュバックしかねないという状況の中、心からリラックスしてもらうために、慎重にレクチャーする必要がありました。
2日間に渡り、野田村での講習を行い、空き時間をいただいて、津波の被害のあった場所を訪れることができました。そこで見た光景は、本当に今でも忘れることができません。
立派な家があったであろう、門柱だけが残っている場所や、今でも山積みのガレキ。 そして、ものすごい破壊力を物語る、なぎ倒された防潮堤など、息を飲む光景が次々と目に飛び込んできました。 今は静かに呼吸をするかの様な、海のさざなみも、当時は悪魔の様に荒れ狂い、あらゆる物を飲み込んだ大津波に豹変したかと思うと、そこに立っているだけで、立ちすくみそうな気持ちになりました。 大自然を相手には、人間は本当に無力なのだと感じざるを得ませんでした。
そして3日目は、場所が変わって、岩手県、北沿岸部の洋野町。 ここでは、日頃から運動指導を行うボランティアの方々へ、ココから体操の講習会を行いました。 参加者の皆さんが、本番までに、とても熱心に練習を積まれていたのが良くわかり、本当に驚きました。 故郷を守り、そして自分達で元気にしていく。その熱意が心から伝わってきました。
今回の仕事を終えて感じたことは、「被災地を支援する」といったテーマに携わることの難しさと奥深さ。 そして何より、僕たち運動指導者が、もっとも意義のある、『自己満足』に陥らない支援というのは何なのか。 この“見えざる壁”にぶつかれたことは、僕にとって、衝撃的であり、大きな収穫にもなりました。 関西で活動している僕たちが、直接被災地の方々にできることは、微力かもしれません。
ですが、被災地の方々から学び、それを現在の活動拠点の仕事に活かすことで、現状よりもさらに多くの方々の心や身体のケアに役立てられる。 一人では微力でも、人と人との繋がりによって、大きな力に変えられる。それは最終的に、被災地の方々への支援になり得ると思います。
今回のこの仕事の機会を与えていただいたことに、心から感謝したいと思います。
内容:ココから体操講習会
実施日:2012年9月26日(水)
会場:岩手県
講師:郡 勝比呂
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