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梅田陽子のマインドボディ便り

更新日:2009.05.01(金)

【第5話】
道程

ソーシャルキャピタル・イノベーション・アントレトレナーシップ・ガバナンス

何のことだかさっぱり分からない用語が通常会話の中に盛り込まれて話が進んでゆく。 そう言えば20年前にも同じ様なことがありました。京都大学応用生理学研究室に通うよ うになったときです。小学生が大学の授業を受けている。それほどの格差を感じ、何ひ とつ理解できなかった情けなさにうつむきながら帰路に着く日々が続きました。京都市 内から見える西方の山の夕暮れを見ると今でも思い出します。

同志社大学大学院総合政策科学部、前期博士課程。これがこの春からの私の所属です。 大学院生になりました。学校の社会科に「公民」と言う科目があり私は苦手だったのですが、 この公民の教員免許が取得できる科です。必然的に出てくる用語は難解で、うつむいて 帰る日々の再来です。ああ~恐ろしい・・・・。

専門ではないではないか?何のために行くのか?そんな時間はないじゃないか!」多く の方に問われましたし、かなり迷いました。しかし迷うということは迷うだけの価値が あるということ。迷えば進め、縁がなければ相手から断られる。そして進んだ結果が今です。

「何のために行くのか?」それは会社のため、フィットネス業界のため、運動指導者のため、 社会のため、そして自分のため。

研究テーマは、現段階では「民間におけるスポーツクラブを核とした、産・官・学による連携型の 健康増進政策」です。一般的には、健康づくりは個人に関わる課題です。しかし、昨今の生活 習慣病罹患者の増加による医療費の増加や心の病による労働力の低下は、健康問題は個人だけでは 解決せず、国益損失ともつながる社会構造上の問題を引き起こしています。つまり、健康づくりは 社会的課題であるということです。

昨年の特定健診・特定保健指導など、これまで国において様々な政策が展開されていますが、 2008年12月の国民健康・栄養調査ではメタボリックシンドロームの予備群を含めると推計で 前年比で70万人増加したとあり、心の病が最大の原因とされている自殺者の数は、前年を 上回るペースで増えているのが現状です。

民間スポーツクラブは、新店オープンの企業もありますが、この計画は数年前からのものであり、 今の経済情勢を予測したものではありません。従って方向性を精査しつつ慎重な経営が必須となります。

この業界では運動指導員(インストラクター)が約7 割を占めることから、人的資源管理が方向性を 担っており、レベルの高い人材の確保・育成が重要な課題となっています。そのためには明確な キャリア・パスを提示し、そのキャリア形成意欲を高めていくことが必要です。

しかし、運動指導員には各行政による整合性のない施策としての数々の異なった任意資格が存在 しており、これがそのステイタス獲得の弊害の原因となっています。(※健康運動指導士登録証の 文面:「健康づくりのための運動指導者の知識及び技能に係る審査及び証明の事業の認定に関する 省令」(平成13年厚生労働省令台98号)に基づき認定された法人(財団法人健康・体力づくり事業 財団)に登録された健康運動指導士であることを証明する。)

心と身体の健康への気付きやその獲得には、身近な場と適切な価格と専門性が高い優れた指導が 不可欠です。これには、行政施策と連携させた民間スポーツクラブの活用が有効と考えらます。 そして、これを核とした健康増進の政策提言は健康づくり・スポーツの政策や公共政策の側面から も希求されているものと思われます。

この2年間でこれらを研究し、文章化(論文のこと)し、きちんと筋を通して発言します。 そして机上の論理ではなく、モデル化して実現に結び付けます。

「費用はいるので自分に収益は上げてよい、しかしながら広く公の民に富をもたらさなければ やって行く意味がない。」師匠の一言で私の決心はゆるぎないものになりました。



梅田 陽子



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