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梅田陽子のマインドボディ便り
更新日:2014.09.10(水)
【第38話】
全国産業安全衛生大会2014に向けて
従業員に健康診断を受けさせるのは会社側の義務で、受けた側は、結果に応じて健康を見直し、元気で働いて会社や社会に貢献する責任を負うことが労働安全衛生法という法律で定められています。雇う側も雇われる側も、健康であることが働くための大前提であるとされており、労働者である私たちもそれは良くわかっています。しかし、どうして人は健康を害してまでどんどん働いてしまうのでしょうか?
8月15日のウォールストリートジャーナルには「休みたがらない社員を休ませる方法とは 7500ドルの休暇手当も」という見出しの記事が載りました。これは日本だけの問題ではなさそうです。本来は最上位のはずの「生きる本能」を、人を人せしめたる「考える脳」で「何らかの考え」が生まれ、それが大きくなり脳全体を支配してしまうと、健康に生きるという大前提を覆してしまうほど働く行為に掻き立ててしまうのでしょう。では、無理をしてでも働く方を取る「何らかの考え」とは何なのでしょうか?
過酷なスケジュールでもコンサートをやり続ける歌手にとっては、出会いを期待し待ち焦がれているファンがいるから。大工さんにとっては、この仕事をやり遂げた結果を楽しみに待っている人がいるから。このように大きな報酬や賛美があったり、結果が目に見えてはっきり分かるなどは、一種の幸福感を味わえる心の報酬が受け取れることで、無理をしてでも働く方を取る「何らかの考え」でなく、快感を伴う満足感が仕事に駆り立てるので、疲労も軽減したり早く解消するなど、負は少なく、逆にエネルギーがわいてくるでしょう。
では、会社で働く多くの企業人はどうでしょうか?日々同じような仕事の繰り返しが続いているのにも関わらず、働く行為に掻き立てる「何らかの考え」とは何でしょうか?例えば、これくらいは自分でやり遂げるべきと考えた場合は、できなかった場合に「悔しい、情けない、恥ずかしい」とか「いらだち、落ち込み、不安、怒り」などの負の感情が湧き上がりやすく、できないかもしれない未来の結果を想像して回避する行動をとるでしょう。
このやり遂げるべきという考えのもとにはネガティブな感情があるのです。その感情は今はじめて生まれたのではなく、これまでの何らかの経験がこの感情を生みやすくし、その結果未来を想像した回避行動として無理をしても働く方を取るという行動に掻き立てるのです。
仕事をしていると、つらい出来事をたくさん経験しますが、それを糧に私たちは強くなってその道の専門家となって行きます。しかし、誰もが上昇気流に乗れるとは限らず、自身のキャパシティを超えた山に遭遇することもあります。その時にどのように対処するかによって、その時に受けたダメージを糧にできるか、マイナスの方に向きやすいかなど、その後の自身の考え方が決まってくるのです。
誰もが皆、順風満帆な訳はなく、どこかで何かにぶち当たります。ですのでその時に、十分対処できる準備をしておくことが、辛い経験を糧にするために大事なことなのです。その方法の一つとして、健康な心身を備えておくことが大事でしょう。例えば多忙な日々が続くとなれば、疲れを自分で対処し体調を整え健康を保つことが必要とされます。もし過重なストレスがかかっても対応できるだけの身体の強さを持ち備えておくのです。心身一如ですから、まず身体を維持し心が立ち向かえるようにストレスを見据えたセルフケアを出来る人になることが働く私たちに求められているのです。
10月24日 トータルフィットの鵜野雅子保健師が、広島にて開催される全国産業安全衛生大会に於いて1000人の会社の労務や人事の方に向けてその方法と成功例を発表します。演題は「スマート・ストレス・マネジメント(SSM)の取り組みについて~ストレス可視化による都市型ヘルスケア~」です。皆様ご期待ください。
梅田 陽子
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