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- 【コラム】梅田陽子のマインドボディ便り
梅田陽子のマインドボディ便り
更新日:2014.07.10(木)
【第36話】
産業メンタルヘルス対応
抗ストレス運動プログラム「りらほ」
④ストレスチェックが法制化された中で「りらほ」の役割とは!
厚生労働省は、6月25日に労働安全衛生法の一部を改正する法律が、公布されました。これは、健康診断が義務付けられているように、心の診断も加えられたことになります。
内容は、医師、保健師などによるストレスチェックの実施を事業者に義務付ける。(ただし、従業員 50 人未満の事業場については当分の間努力義務)。とされ具体的には、「事業者は、ストレスチェックの結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。」という内容です。
次に、同じく厚労省は、6月27日に、平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表しました。そこでは、精神障害の労災請求件数が1,409件(前年度比152件増)と過去最多であったと報告されています。平成19年度に脳・心臓疾患を精神障害の労災請求件数が上回ってから、上昇し続けていることは、労働者にとって心の病は、体を上回るほど大きな問題になっているということです。
ここで年齢別での請求件数は30代、40代、20 代の順に多く、出来事別では、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」と「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」がそれぞれ 同数、次に「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」の順になっています。業種別では、「製造業」、「医療,福祉」、「卸売業,小売業」の順に多く、職種別では、「事務従事者」、「専門的・技術的職業従事者」、「サービス職業従事者の順となっています。
6月3日に平成26年版自殺対策白書が発表されました。我が国の自殺者数は、長期的な推移をみると、厚生労働省の人口動態統計では、昭和30年前後、60年前後に二つの山を形成した後、平成10年の経済状況が不安定になった時期に急増し、以後連続して3万人前後の状態が続いていたのですが、22年以降は減少を続けており、24年は15年振りに3万人を下回り2万6,433人となっています。
今回の最新報告の25年度では2万7,283人とさらに減少となっており、2年続けて3万人を割ったことが短期の結果に終わらないでほしいと思っています。この詳細としては、自殺者数は「人口10万人当たりに何人」という基準で数えられるのですが、平成9年は18.8人であったのが、1年で25.4人と急上昇し平成15年には25.5人とピークになりました。この時、50歳代の自殺が多く私の住む大阪市西区では全国でも大変高い数値となったことを覚えています。
経営者による事業不振が問題視されていました。現在この50代を含め40代以上では減少傾向にはありますが、全体数で見ると、60歳代が最も多く、さらに、男女別でみると、40歳代から60歳代の男性で全体の約4割近くを占めています。ご存じでしょうか、自殺者全体のうち約7割が男性です、しかし未遂者の数は、女性の割合の方が多くなっているのです。
また近年の傾向は、若い世代の増加です。15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっており、こうした状況は国際的にみても深刻であり、この世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっています。
原因は経済状況が関係しているとも言われています。私は秋田、青森、兵庫と自殺予防にかかわってきましたが、地域や年代、職業など個人の状況により異なり原因は大変複雑であるとこれまでの経験から感じています。今回の統計では、平成19年以降の原因・動機別の自殺の状況をみると「健康問題」が最も多く、次に「経済・生活問題」が多い。
推移としては「家庭問題」が増加傾向にあり、「経済・生活問題」が減少していると報告されています。月別の推移では、男性、女性ともに「5月」に最も多くまた最も少なくなっているのは、男性では「11月」、女性では「12月」です。5月病といわれるものがありますが、環境の変化による影響は大きいような気がします。
このように全体が減少傾向となっているとはいうものの、職業別では、労働者が34.5%と最も多くなっており、産業メンタルヘルスの視点で言えば、約9000人の現役労働者が1年ごとに亡くなっていることになるのです。これは、異常な事態です。
「りらほ」とは、これまでの心の健康の保持増進を推進するセルフケア(1次予防)や早期発見(2次予防)など従来型の対策ではなく、ストレス下にある労働者に対して、気づきと自立したセルフケアを促す「0次予防」により、身体不調やメンタルヘルスを改善し、イキイキと職場での時間を過ごし生産性を向上するプログラムです。
梅田 陽子
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