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梅田陽子のマインドボディ便り

更新日:2011.01.01(土)

【第15話】
楽観的にはね続ける

    ノーベル化学賞を受賞された根岸英一・米パデュー大特別教授の報道は、多くの媒体で重ねて報じられ、それにより、まったく知らなかった方なのに、徐々に身近に感じられるようになり、メディアの力はすごいと思います。 

そんな折、インタビューがあり座右の銘の話題となりました。そこで恩師であるブラウン博士の言葉を紹介されました。

「TALL OAKs Grow LITTLE ACORNs」(大きな樫の木も小さなドングリから)。 この言葉は愛用していた置時計の台座に刻まれ、今でも大学に飾られているそうです。

そしてもう一つ、紹介されました。それが、『エターナル・オプティミズム』(永遠の楽観主義)です。わかりやすく言うと「あきらめない楽観主義ですね」と話されたその言葉に衝撃を受けました。

なぜなら、私も「あきらめない」という言葉で何かあるたびに投げかけ、自身を鼓舞してきました。また周囲にも「あきらめたらあかん」とよく話すこともしてきました。

たとえば運動指導や講演の真っ最中に、ちょっとしたトラブルが起こったとします。立て直そうとしますが、簡単に行かないことはよくあります。そんな時、あきらめの気持ちが出てきたら、そこから急降下が始まり、結局後味の悪い結果となります。

藪から棒に無茶をするのはよくないですし、ただ頑張り続けるのも息切れがします。時には潔くあきらめることも必要ですので、見極める冷静さが大事です。

本音は楽しみたいので、いつもいつもあきらめるほうを選ばないように自分にとって「あきらめたらあかん」は大事な言葉でした。そこに根岸教授は「楽観主義」とプラスされたのです。

これには驚きました。本当にその通りだからです。忘れていました。あきらめたらだめだと思い続けていると、なんだか無理をしてしまい、空回りの悪影響で悲観的な考えに陥ってしまうことがあります。しかし「あきらめない」と「楽観主義」を同居させれば、なんとも心地よい響きになります。

実は私はここ数ヶ月間、「あきらめない」だけの精神のために悲壮な日々を送ってきました。遊びも休みも皆無の状態で、休日なのに朝陽を見ながら出勤し、帰りは日が落ち真っ暗な道を帰りました。それをずっと続けてきました。

多分この50年間で上位に入るくらい悲壮な日々を送り、投げ出さず、あきらめずしがみついて進みました。そのような中で、ノーベル賞授賞式があったのです。課せられた処理内容の状態は変わりませんが、「あきらめない楽観主義」の言葉に助けられました。

それまでは、あまりの難題に対し歯が立たない自分が情けなく、自己嫌悪でキーボードに涙が落ちそうになることもありました。クリスマスが近づき、知人から忘年会の誘いを受けたにもかかわらず断りながら、「あきらめない」を実行していると思っていたのです。

しかし、少々続け過ぎたために疲弊しているのに気づきませんでした。悲観な想いはかさみ、来年はもう誰も誘ってくれないだろうなどと思いながら作業をしていたのです。

しかし、ノーベル賞を境に、年末になるにつれこんなにたくさんの人が自分を誘ってくれるなんて、なんて私は幸せ者なんだ!と感謝するようになったのです。

日を重ねるにつれ断る忘年会の数も増えますから、感謝と感動も増えていったのです。この作業のご報告は、改めてお伝え致します。

今年の干支はうさぎ年。皆さんとご一緒できる幸せに感謝しながら、あきらめずこの積み上げたものを糧に、楽観的にはね続けたいと思います。本年も何とぞ宜しくお願い申しあげます。




梅田 陽子



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