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梅田陽子のマインドボディ便り
更新日:2015.02.10(火)
【第43話】
「働く人のメンタルヘルス」
~今年スタートのストレスチェック制度~
今年に入り複数の場面で「ストレスチェックのこと」に関する問いかけがありました。今年12月1日からスタートするメンタルヘルス対策についてです。これは、労働安全衛生法の一部改正に伴った産業メンタルヘルス対策として、従業員のストレスをチェックすることが事業主に義務化されたことによります。目的は会社側がメンタル不調者を見つけ出すためではなく、労働者本人が自身のストレスの状態に気づき、自身のケアを促すこととされています。
チェックの結果は、実施者(医師や保健師など)から本人に伝えられ、ハイリスク者には医師による面談が促されます。健康診断との違いは、結果が事業主側(人事や総務)に伝えられないことです。仕事中に医師の面談や医療にかかりたい場合は、本人が承諾したうえで事業主側に伝えられることはありますが、承諾がない場合は実施した医師らと本人のみが知る情報となります。
健康診断で高血圧等があれば、「高所作業は危険だから別の仕事に変わってください」と会社側は言うことができますが、ストレスチェックについては希望しない部署替えや減給など不当な扱いを受ける恐れがあることを危惧し、会社側には本人の同意がなければ結果は伝えられないことになっています。
しかし、医療従事者には「自傷他害のおそれ」があれば本人やその周囲の安全を確保する義務があるため危険を予知した場合には本人の同意がなくても会社側に知らせ対処することがあります。このストレスチェックを実際に記入する方法は、紙の質問紙に書き込む以外として、パソコン通信いわゆる[ICT]による実施も可能の方向となってきました。ICTの方が優れていることとして、ハイリスク者に対する結果や面談の連絡があります。
封書を渡すには、何らかの人を介したり人目に触れることがありますが、メールの場合は1to1すなわち送り手側も受け手側もそれぞれ当人のみが知っているだけですのでプライバシーが保護されます。しかし、ネットトラブルが続出している昨今では、誤送信や外部からの悪質な侵入などリスク回避に神経をとがらせる必要があります。
このように結果は個人に返すほか、集団での分析、すなわち「職場のストレス判定」も必要とされています。事業主は、会社、もしくは職場ごとの判定結果から実施者(産業医)の意見などを聞いて、職場の環境の改善をはかるよう促されています(努力義務)。この職場の環境改善は様々なことができるでしょう。
まず仕事量や勤務体制等の労務管理について、資材や物品の取り扱いなど作業手順について、温度や休憩、分煙など作業環境について、人との交流など相互支援について、心身の健康づくりなど安心できる職場について。このように問題に応じて多方面から対策を講じることができます。そこで私たち、健康づくりの専門家としては、心身の健康を維持増進のための具体的な方法を、伝え支援する役目を担う役目が今後生まれると考えられます。
そのためには、このストレスチェック制度を把握するだけでなく、心の健康について知識を得ると共に、各専門職として何ができ何ができないのかという自身の役割について理解を深めていくことが大切です。弊社は、前身のトータルベーシック(有)を含め22年間たくさんの企業・組織で働く人々に対し、心の健康づくりを体を動かすこと、体の声を聴くことを通じて支援して参りました。昨年マインドボディフィットネスは、「心が軽くなる身体づくり」として経営科学出版社から5枚組DVDとして出版されました。
ココから体操は今春、予防介護フィットネス第2弾の共著「こころとからだのバランスを整えるココから体操」として誠文堂新光社から出版準備が進んでいます。経産省の地域ヘルスケア補助金事業として電通関西・パナソニックヘルスケアと協力し行いましたスマートストレスマネジメントは、働く人の抗ストレス運動プログラム「りらほ」として開発・展開をすすめています。平行してスマートストレスマネジメントは、協力企業と共に現在も産業化に向け開拓を続けています。
1月末には、経済産業省四国経済産業局のヘルスケアセミナーに奨励を受け四国の企業に向け発信することになりました。働く人々にとって、1日24時間、睡眠時間を省くと会社にいる時間が最も長くなります。この時間を快適に過ごせることは、持ち得る力を十分発揮できることにつながります。この国の労働者の力を高め、生産性を向上させ国を豊かにするためには、個人と会社双方が満足する労働環境を整えることが重要です。
今回のストレスチェックが、その一つとして機能しますように、そして我々健康づくりの専門家が活動活躍できる職域が広がりますように願うとともに、その実現のために前進して参ります。共に歩んでいただく皆様、2015年ひつじ年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
梅田陽子
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